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2011年04月15日
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プロジェクトマネジメント流仕事術


プロジェクトマネジメントオフィス 好川哲人


第6回 仕事の質を高めよう(最終回)

◆質の高い仕事とはステークホルダが満足する仕事

いよいよ、この連載も今回が最終回である。最後は「仕事の質」について考えてみたい。

よく仕事の質が高いとか、低いとかいうがこれは一体どういう意味なのだろう?みんな、なんとなく質という言葉を使っているが、「質」に対する考え方は一様ではない。例えば、「品質の高い成果物を作ることだ」と考えている人もいれば、「とにかく、お客様の喜ぶ顔を見ること」だと考えている人もいる。「自身の達成感があること」だと考える人もいれば、「上司が満足すること」だと考える人もいる。全般的に言えば、自分自身も含めて、ステークホルダが満足する仕事が質の高い仕事だといえるだろう。

一方で考えなくてはならないのは、どうすればステークホルダが満足するかという点だ。もっともわかりやすいのは「成果物」の品質だ。成果物の品質が高ければ、ステークホルダは満足すると考える。ところが、成果物の品質にのみ関心をおくと、「いくら時間がかかっても、いくらカネがかかってもよいから、ステークホルダが求めるものを生み出すことこそ大切である」といった現実味のない話になりかねない。ステークホルダにしても、趣味で芸術品を求めているわけではないので、納期に対する要望もあれば、コストに対する要求もある。

このように考えると、多くのステークホルダが満足するのは、これらの要素の「バランス」に満足したときだといえる。このバランスは計画によって表現され、ステークホルダが計画に合意することで、この問題は計画を如何に忠実に実行できるかという問題に変わる。これはプロジェクトマネジメントの中では「プロジェクト品質」と呼ばれる。


◆第1優先は顧客の満足

ところが、話はそう単純でない。上に述べたように仕事の質というのは多面性があると同時に、ステークホルダ間にコンフリクトがあることが多いからだ。顧客の満足するバランスと組織の満足するバランスは異なるし、プロジェクトチームのメンバーが満足するバランスも異なるかもしれない。例えば、仕事の納期を考えてみてほしい。顧客はできるだけ早く成果物を手に入れることを望む。メンバーはゆとりがあり、自分自身が満足できるような状況を望む。組織はどちらでもよいので、コストが少しでも抑えられるような納期を望むだろう。

では、このようなコンフリクトがある中で、何を優先すればよいか?改めていうまでもないが、「顧客の満足」である。当たり前だと思うかもしれないが、意外と実践されていない。実現できないような要求になることが多いからだ。その理由は2つある。一つは顧客の要求そのものが厳しいというのがある。コストも抑え、スケジュールも抑えた中で、必要な成果物を欲しがる。これが顧客というものだが、これに対応するのは難しい。

もうひとつは、ここに組織の要求が加わることになるので、掛け算的に目標が高くなる。例えば、顧客から難しい納期要求がある。ここに、組織側からコスト要求がある。納期要求だけであれば、外注するなり、要員追加するなり、カネで解決する(もちろん、利益の出る範囲!)ことができる。しかし、ここに組織からの厳しい収益要求があれば、カネで解決する道はなくなる。

これが意外と実践されていない理由だが、どうすれば実践できるのだろうか?


◆仕事の質の高め方

プロジェクト品質を向上させるというのは要するに業務改善をしながら、当初の目標に可能な限り近づけていくことだ。このためには、プロジェクト計画の一部として業務改善の計画を作り、その計画を実施しながら、業務を行っていく必要がある。つまり、作業時間の短縮の計画、コスト削減の計画を、業務改善の計画とともに作る。また、それに伴うリスクを見極め、その対応計画を作る。さらには、そのリスクを軽減されるコミュニケーションの計画やチームマネジメントの計画を作る。そのようにして初めて、プロジェクト品質の向上が可能になる。

仕事の質の高さとは、この改善の度合いである。失敗すれば最低の質になるが、失敗しない範囲で、目標が高ければ高いほど、仕事の質は高いといえる。上に述べてきたように、目標にはすべてのステークホルダの要求が折り込まれるからだ。

今回6回にわたって述べてきたことは、質の高い仕事をする方法論である。みなさんが、従来にも増して高い質の仕事をするために、何らかの参考になることを願って連載を終える。


一覧 | 第5回
著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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