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第5回 プロダクトロードマップ(2013.01.01) 2/2

新井 宏征


◆2種類のプロダクトロードマップ
プロダクトマネジメントのプロセスで最初に考えるべきことはプロダクトロードマップの作成である。プロダクトマネジメントにおいて、ロードマップはさまざまな場面で利用することができる。ロードマップといえば、経済産業省が作っている「技術戦略マップ」のような「技術ロードマップ」が最初に浮かぶかもしれない。それ以外にも、今後の事業展開を描いた「事業ロードマップ」などもある。

そして、今後の製品の開発計画や市場投入計画を整理したものが、今回取り上げる「プロダクトロードマップ」である。プロダクトロードマップは社内向けと社外向けの2種類を作るのが理想である。社内向けのプロダクトロードマップは、主に社内での製品開発を推進するために使われるもので、今後開発していく製品、あるいは機能の優先順位付けを明確にし、それを社内に浸透させることが大きな目的である。一方、社外向けのプロダクトロードマップは、パートナーや顧客、市場関係者に対して、今後の自社の方向性を示すために使われるものである。一般的に、社内向けのプロダクトロードマップの方が、社外向けのものよりも詳細に作られている。

◆プロダクトロードマップ作成の意義
プロダクトロードマップ、中でも社内向けのロードマップというのは、単に今後の製品開発計画を立案する以上の意義を持つものにしなければならない。たしかに、現代のように技術開発のスピードが年々速まっていく時代において、5年先の製品開発を見通すのは容易ではない。多くの場合、途中でロードマップの見直しが必要になる。だからといって、ロードマップを作る意味がないかというと、そうではない。

社内向けのプロダクトロードマップを作るもっとも重要な意義は、その作成プロセスにある。いざロードマップを作成するとなると、プロダクトマネジメントを実行する場合と同じく、プロダクトマネジャーひとりで作成することはできない。実際のプロダクトマネジメントにかかわるさまざまなステークホルダーの協力を得ながら作成していくことになる。例えば、研究開発部門から現在利用できる技術や、今後の開発計画の情報を収集しなければならないし、マーケティング部門や営業部門とのやり取りを通して市場や顧客のニーズを把握しなければならない。

さらに、そのような情報を元にするだけではなく、企業としてのビジョンやミッション、そして戦略を意識しなければならない。好川さんの『プロジェクトマネジメントの基本』などでも説かれているように、製品を開発していく上では、常に全社的なビジョンやミッション、戦略との整合性を意識する必要がある。

図にあるように、企業のビジョンやミッションが最上位にあり、それと整合性が取れた全社的な経営戦略、事業戦略、そして製品がある。この階層は、上から下にはhow、下から上にはwhyの関係になっている。つまり、上位にあるビジョンやミッション、戦略をどのように(how)実現するのか考えるために下位の戦略や製品がある。さらに、この製品や戦略がなぜ(why)あるのかという意義を確認するためには、より上位の戦略やビジョン・ミッションに立ち戻る必要がある。

    

社内向けのプロダクトロードマップを作成するプロセスでは、常にこのピラミッドを意識することになる。言い換えれば、社内向けのプロダクトロードマップを作成するプロセスは、企業のビジョンやミッション、そして戦略を改めて理解するきっかけとなるのである。

もちろん、社内向けのロードマップは作成するプロセスだけに意義があるのではない。社内向けロードマップは、作成した後、それを社内に浸透させていくことにも意義がある。

例えば、同じ会社の中でも、ある言葉についてそれぞれが別の意味で使っているような場面に遭遇することも珍しくない。また、極端な場合、社内のそれぞれの部署が、同じような研究開発や製品開発を行っている場合もある。そのような社内の意思疎通がうまくいっていない状況を改善するためにロードマップを活用するのである。社内向けのロードマップを全社で共有することで、自分たちが進む方向性を共有し、同じ「言語」で意思疎通を行うための基礎を作るのである。

そもそも社内向けロードマップを作成する時点で、社内のさまざまなステークホルダーを巻き込んでいるので、ロードマップを作成するプロセスを通して、社内の意思疎通の齟齬を解消する契機とすることができる。

◆プロダクトロードマップ作成プロセス
最後に一般的なプロダクトロードマップの作成プロセスを紹介する。

 1. ロードマップを作成する期間と粒度を決定する(今後何年のロードマップをどれだけの詳しさで作るのかを考える)
 2. 競合企業の動向や、市場動向、一般的な技術動向を把握する
 3. 社内の要件を洗い出し、優先順位付けを行う
 4. 社内向けロードマップを作成する
 5. 作成したロードマップに対して社内のステークホルダーから合意を取り付ける
 6. 社内向けロードマップを元に、社外向けロードマップを作成する

これを見ると一見シンプルだが、戦略策定などと同様、実際にロードマップを作成するとなると、シンプルとは言い難いプロセスとなる。ただし、これ以前で紹介したように、そのプロセス自体が重要となるので、ぜひさまざまなステークホルダーを巻き込み、ロードマップの作成に取り組んでいただきたい。

   

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著者紹介

新井 宏征

SAPジャパンにて、BI関連のソフトウェア導入業務に従事した後、2007年よりシンクタンク勤務後、2013年に独立。主に法人関連分野のコンサルティング業務に従事。主な著書に『スマートグリッドの国際標準と最新動向2012』、『グーグルのグリーン戦略』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『90日変革モデル』などがある。
Facebook上でプロダクトマネジメントのグループも管理している。

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